日本公証人連合会のホームページによると公正証書遺言の作成数は令和6年で12万8378件だそうです。令和5年が11万8981件、令和元年(平成31年)が11万3137件ですから、徐々に増えています。残念ながら自筆遺言の作成数のデーターはありませんので正確な数はわかりませんが、令和2年に始まった「自筆証書遺言保管制度」の利用者数も増えていますから、公正証書遺言と自筆遺言を足した遺言全体の総数も増えているのは間違いなさそうです。徐々に浸透しつつある遺言書ですが、メリットは何でしょうか。遺言作成者にとってのメリットと相続人にとってのメリットの両方があると思います。
<遺言作成者(被相続人)にとってのメリット>
・自分の財産を自分の思い、自分の考えた通りに大切な人に承継させることができることです。逆に言えば、遺言がなければ、法定相続通りになってしまいますし、法定相続人がいなければ最終的には国庫に帰属することになります。
・法定相続人の中でも特にお世話になった人、法定相続人以外のお世話になった人へ、自分の感謝の気持ちと共に財産も渡せる(お礼ができる)ことです。
<相続人にとってのメリット>
・遺言がないと全ての法定相続人の同意が必要な遺産分割協議書が必要ですが、遺言書があれば不要です。法定相続人同士であまり交流がなかったり、不仲だったり、未成年者がいたり、認知症の方がいる場合など、遺産分割協議書の作成は大変です。
・法定相続人が兄弟姉妹や甥姪の場合の相続手続きは、配偶者や子、両親が相続人になる時と比べると揃える戸籍情報が多く、非常に手間がかかりますが、遺言書があれば、手続きが簡略化できます。
少ない遺産でも相続人の間で争いが起きることは多々あると聞きます。残された相続人の間で相続争いが起きないようにしておく為にも遺言書を残しておくことは、有効な手段だと言えます。